「見たこと」だけを信用するな
- 作者: クリス・アンダーゼン,デイビッド・サリー,児島修
- 出版社/メーカー: 辰巳出版
- 発売日: 2014/06/30
- メディア: 単行本
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高校生のころまで遊びでやっていただけだったサッカー。2000年代に入って「見るスポーツ」として、よく見るようになった。
過大評価されている?コーナーキック
コーナーキックからシュートにつながる可能性はわずか20.5%だった。つまりコーナーキック5回を蹴って、ようやくシュートが1本生まれる。
コーナーから生じたシュートが成功するのは、9本のうち1本。コーナーキックから得点をして、片方のチームが喜びを爆発させ、もう一方のチームがうなだれる、私たちがお馴染みだと思っているシーンは、これほど希にしか生じていなかったのだ。
コーナーから生じるシュートと、そこから生まれる可能性を数値化すると、平均して、コーナーから点が入る可能性は約2.2%しかない。
シュート数と勝率は比例しない
欧州リーグのデータで、相手よりシュートを多く放ったチームが試合に勝つ確率を調べると・・・
シュート数の多いチームの勝率は5割以下だった。全体では47%、イタリアとドイツでは45%とわずかに低い。
枠内シュートのみを対象にすると、シュート数の多いチームの勝率はわずかだが上がる。リーグによって最小で50%、最大58%だった。
過少評価されている?守備
無失点試合は平均して1試合あたり勝ち点2.5ポイントの価値があることがわかった。
勝ち点換算で考えた場合、0点に抑えることは1点を取ることよりも大きな価値がある。
サッカーで守備が過少評価されている。かつ間違った方法で評価されている。これは、人が守備を理解するうえでの妨げになっている、心理的な現象によるものだ。
人間は、実際に起きたことを記憶し、過度に重視しようとする傾向がある。そして「起きなかったこと」は簡単に無視してしまう。
ACミランとイタリア代表のキャプテンとして鳴らした名選手、パオロ・マルディーニはめったにタックルをしないことで知られていた。正しいポジショニングをとることで、リスクの芽を事前につみとっていたからだ。
良いディフェンダーはタックルをしない。吠える犬は、吠えなければならない状況に陥った犬である。良い守備をすることは、吠えない犬であることなのだ。
サッカーを生観戦することが大好きだが、「人間は実際に起きたことを記憶し、過度に重視しようとする傾向がある」なら、むしろ試合をたくさん見れば見るほど、サッカーの偏見にとらわれるようになってしまうかもしれない。
だまされないように、自分の考え方のクセをよく認識して試合を見ないといけない。
サッカーを離れ、仕事の現場でも、「良いディフェンダーが過少評価される」傾向は起こりがちのように思う。
スーパースターをそろえても必勝ではない。弱者のデータ革命戦略が起きるかも?など、実人生にも参考になりそうな示唆が多くあった。