幼児期の記憶のあやふやさ
買ったまま、ずっと読んでいなかった本。
【映画化】完全なる首長竜の日 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
- 作者: 乾緑郎
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2012/01/13
- メディア: 文庫
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この小説が「このミス大賞」に輝き、映画化されるくらい評価されているのだから、多くの人はあまり気にせず楽しむのだなと感じた。
たびたび出てくる、主人公の弟が海でおぼれかけるシーン。自分が小学生のときに、渓谷の大きな岩からちょっとだけ、滑り落ちて、ものすごくこわい思いをした体験を何度も思い出した。
なんというか、幼児期の記憶のあいまいさというか、その前後の記憶はほとんどないのに、そのわずかな時間のことだけは鮮烈に覚えている感じ。
そうした幼児記憶の不気味さ、というか、あやふやさが、この小説ではとてもうまく生かされていると感じた。