「独特のユーモア」と暴力

日馬富士の暴行問題で騒ぎになっている。

報道から見て、まあ酒癖が悪い人であるのは間違いないのだろう。

また報道から考えて、暴力も全然なかった、というわけではないだろう。

もちろん私は、日馬富士と会ったこともお話をしたこともない。でも、映像や中継から、独特のユーモアと優しさを持っている人だなと感じている。

  • 横綱大関がみんなで赤ちゃんたちを抱っこしてあげるイベントの動画がユーチューブに上がっている。このとき稀勢の里だけが、抱く赤ちゃん全員に泣かれて困っていた。見ていた日馬富士がそれを面白がって「(稀勢の里を指しながら)この人、こわい人だから。子どもはわかるんだよ」と満面の笑みでからかっていた。稀勢の里はさかんに首をひねる。日馬富士って、こういうノリの人なんだと思った。この動画、好きで何回も見返している。

  • 先場所千秋楽の豪栄道との優勝決定戦の前。支度部屋で、日馬富士は後輩の十両・照強を指名して、ぶつかりの確認らしき練習をした。決定戦勝利後、インタビューでこの行為の狙いをきかれ、日馬富士は「いやー、照強、テレビに出してやろうと思って」と答えた。生放送でこういうサービス精神もいいし、からかい方が面白いというか、いじりたい相手にちょっかい出すのが好きな、憎めない人なのだと思った。

いや、すばらしい人間性とか、とてもいい人とか、そういうことではない。勝負の世界に生きる厳しさも当然あるだろうし、気難しさや、感情の波の激しさも持っている人に見える。でも、ちょっと「独特のユーモア」もあって、なんとなく魅力もありそうだなあと感じられる人だった。

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日馬富士の相撲は、よく言われる通り、切れ味鋭いというか、キレキレの感じ。体がない分、リズムが崩れると格下に不覚をとるが、ここぞ!のときの集中力は当然すごい。白鵬との相撲もガッチリ組み合うと厳しいが、鋭さで貫ければ勝つ。

建て前としては、

  • 酒に悪酔いした

  • 大変なケガを負わせた

のだから、横綱の責任とか以前に、刑事罰に問われかねない、とんでもないことであることは、まあその通りだ。

ただ、お相撲さん・力士の世界は、ケタ外れすぎるパワーと、屈強すぎるノリが相まって、それで、魅力ある世界になっている部分もある。なんというか、日馬富士は、どこか、人間的な部分で魅力的でもある。そんなふうに見てきたし、今回も、謝罪して、許してもらえるなら、それでなんとか・・、とも考える。

いや、もちろん「そんな暴力容認につながりかねない意見、とんでもない」というのが、断然、正論なんだけど。

貴ノ岩のケガが、なんとか、回復してほしい。

いや、回復したとしても、そもそもが、とても許されない行為であることは、変わらないのだが・・。