「権力者層」の現実感なし

東野圭吾さん、映画化された長編小説。

プラチナデータ (幻冬舎文庫)

プラチナデータ (幻冬舎文庫)

ネタバレ

お話のスケールは大きいし、エンターテイメントとして楽しむ分では全然いいのだけれど、天才・東野圭吾さんの小説だと考えると・・。

実際にこんな人気作なのだから、私と同じ感想をもつ人は少数派だと思うが、ところどころで、「現実感がちょっとイマイチかな」と思うところがあった。

  • 主人公・神楽龍平さんが勤める「特殊解析研究所」の雰囲気や設定。

➡こういうこと、国家予算でやらないよなあー、作りすぎ、という感じ。

  • 「新世紀大学病院」の天才数学者たちの部屋という設定。

➡こういう「SFの世界」みたいな世界観、少し今っぽくないなーと感じた。

  • 「二重人格の研究者・水上洋次郎教授」という設定。

➡この設定にノレる人はいいのだろうけれど、自分はちょっと・・。どこか現実味のない感じがあった。

  • 「幻想としての女の子・スズランさん」という設定

➡ほかのパートとのバランスでいうと、生活感がなさすぎで、あとでここをファンタジーにするのはちょっと・・と感じた。

  • 「権力者層」がDNA捜査システムで便宜を求める、という設定。

➡「権力者層」は、政治家でいえば閣僚経験者、官僚なら幹部候補生、コネの有無でも変わる、となっている。こういう「権力者層」みたいなグループがはっきりあって、その人たちは特別扱いを求めていて、その方向に進んでいる。っていう物の見方が、私にはあまり現実感を感じられなかった。

こういうことが気になるのは少数派だろうし、ちょっとヤボかな。うーん。