「権力者層」の現実感なし
東野圭吾さん、映画化された長編小説。
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2012/07/05
- メディア: 文庫
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お話のスケールは大きいし、エンターテイメントとして楽しむ分では全然いいのだけれど、天才・東野圭吾さんの小説だと考えると・・。
実際にこんな人気作なのだから、私と同じ感想をもつ人は少数派だと思うが、ところどころで、「現実感がちょっとイマイチかな」と思うところがあった。
- 主人公・神楽龍平さんが勤める「特殊解析研究所」の雰囲気や設定。
➡こういうこと、国家予算でやらないよなあー、作りすぎ、という感じ。
- 「新世紀大学病院」の天才数学者たちの部屋という設定。
➡こういう「SFの世界」みたいな世界観、少し今っぽくないなーと感じた。
- 「二重人格の研究者・水上洋次郎教授」という設定。
➡この設定にノレる人はいいのだろうけれど、自分はちょっと・・。どこか現実味のない感じがあった。
- 「幻想としての女の子・スズランさん」という設定
➡ほかのパートとのバランスでいうと、生活感がなさすぎで、あとでここをファンタジーにするのはちょっと・・と感じた。
- 「権力者層」がDNA捜査システムで便宜を求める、という設定。
➡「権力者層」は、政治家でいえば閣僚経験者、官僚なら幹部候補生、コネの有無でも変わる、となっている。こういう「権力者層」みたいなグループがはっきりあって、その人たちは特別扱いを求めていて、その方向に進んでいる。っていう物の見方が、私にはあまり現実感を感じられなかった。
こういうことが気になるのは少数派だろうし、ちょっとヤボかな。うーん。