習慣で「目がいく場所」が変わる
前野隆司さんの本。「無意識の整え方」が面白かったので、こちらも読んだ。
- 作者: 前野隆司
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2017/08/11
- メディア: 新書
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ただ前野隆司さんなら、そういう普通すぎる本ではないだろうなと思う気持ちもあった。
強みやうまくいった要因を探す
楽観主義とは「何でもかんでもうまくいく」「マイナスのことを考えるのはよくない」「愚痴もよくない」「悪いことは考えないで、いいことだけを考える」という考え方だと思われがち。
本当の楽観主義は、「愚痴を言いたいときは言いたいし、批判したいときはしたいーそういうネガティブで悲観的なところも含めて自分を認めてあげること」「過去や今の出来事を分析し、強みやうまくいった原因を探した上で、今自分のやっていることがうまくいくと考え、これからも何とか成し遂げられるだろうと思えること」。
多様だと楽観的になれる
多様だから楽観的になれる。みんながそれぞれに違っていることを意識すると、わずかな差が気にならなくなる。結果として幸せを感じる。
同じ職場の5人が友達だと、グループ内で誰が出世したとか、誰が給料が高いとか、わずかな差に敏感になって比べてしまいがち。人と比べて劣っていると不幸な気持ちになるもの。
友人同士の環境がまったく違うと、比べる必要がなくなる。あの人はあの人、私は私、と思える。楽観的になれる。
人は自分と似た境遇の人ほど比べたくなる。年齢も、性別も、職業も、置かれた立場も、まったく違えば、比べるという気にはならない。
同質の、似たものグループの、なんとなく感じる息苦しさ。しかも「自分はこの仲間に実際に負けているから、負け惜しみで、人生は多様だとか、言っているのではないか」というような追い込み方。そういう考え方はやっぱりバカバカしいと改めて思わせてくれた。
「無力感」が危ない
(マーティン・セリグマンの解説では)「学習性無力感」を抱いた状態とは「自分は何をしても状況は変わらない」という環境に追い込まれたときに感じる状態。自分が置かれた状況に対して積極的・自発的な働きかけを起こさなくなる。成功体験を学習することが困難になり、無力感や苛立ちなどの情緒的混乱が起きる。
(セリグマンは)ポジティブな人でも、いじめに遭ったり、つらいことがあったりすると、無力感を通じて、期待感や意欲を失い、うつ病になってしまう場合もあることを知った。
幸せは「原因」でもある
幸せは「最終的な結果」と思われがち。しかし、幸せは「原因」にもなる。幸せを最終目的にするのではなく、まず小さくてもいいから幸せな心を作っておく。すると、次々にいいことが訪れるようになる。
幸せの「因子分析」
「やってみよう!」因子(自己実現と成長)
「ありがとう!」因子(つながりと感謝)
「なんとかなる!」因子(前向きと楽観)
「ありのままに!」因子(独立とあなたらしさ)
「長期的な幸せ」を目指そう
日本は男女の幸福度の差が大きい。生涯を通して、どの世代で比べても、男性よりも女性のほうが幸せ。
男性のほうが「金、モノ、地位」などの長続きしない幸せである「地位財」にこだわる。
女性の多くは、長期的な幸せをもたらす「非・地位財(よい環境、健康、心の幸せ)」に目を向けて生きている。周囲との良好なつながりを大切にして、まわりと仲良く生きているから幸せ。
うーん、地位を気にしている、というより、いい仕事の結果が地位だったりする部分もあるから、まあ難しい。でも、一歩引いて考えれば、そんなこと、どうでもいいことでもあるから、やっぱり女性的な考え方のほうがいい。
「今日あった3つの良いこと」を書こう
実践編のなかでは「今日あった3つの良いことを書く」という方法に関心を持った。数日前からはじめている。
「3つの良いことを書き出す」エクセサイズは嫌な出来事に対する認知を変える力がある。
人は1日を振り返るとき、今日あった嫌なことに焦点を当てて、そのことで頭がいっぱいになってしまう傾向がある。
「3つの良いことを書き出す」と、それまで漫然と過ごしていた1日にいいことがあったと気づくことができる。1日を良いほうに見直すことができる。
書き出すことで、自分をメタ認知(客観視)できる。「今日もいいことがあったじゃないか」と自分の変化や進歩に気づくことができる。心にフィードバックできる。
最初は、良いことが3つも出てこないという人でも、毎日続けていると、「今日のお昼ご飯はおいしい。今日はこれを書こう」というふうに、1日のなかで起こる良いことに目がいくようになってくる。良いことを楽しむ力がだんだん増えていく。
習慣によって、目を向ける場所を変えてゆく。
口で言うほど、簡単ではないが、この習慣を続けていこう!