「相撲おバカ小説」の傑作

書店で思わず手に取り、一度は「まあ、いいか」と買うのをやめたが、あとで思い直して購入。

こういう、リアリティを無視して、ミステリーのお約束を笑い飛ばす感じの小説は、それはそれで、ありだと思う。

6つの短編で構成されているが、個人的に最も衝撃を受けたのは、本場所で、対戦相手が14日目まで全員殺されて、不戦勝で14連勝する話。あまりにも奇想天外で、バカバカしくて、とても新鮮で、こんな話をよく思いつくなーと、考えさせられてしまった。

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ただ「伝説の奇書が大復活」とまで帯で持ち上げている感じは、ちょっと違和感もあるかなー。「相撲おバカ小説の傑作」くらいのノリで、軽く読むにはいいんだけど・・。

読みながら、大相撲ファンぶって、いろいろ突っ込みを入れたくなる感じ自体は、楽しいものだった。

  • この本では「万年幕下」とバカにされている力士が出てくるが、幕下に定着できるなんて、すげー強いよ!

  • そもそも毎日バキバキ鍛えている現役力士のような超屈強な男を何人も殺すこと自体、相当難しくて、途中で読んでられなくなるよ!

  • そもそも力士が溜まり席の女子高校生の上に乗っかって重傷を負わせるという、この短編集の根幹にある事件も、なかなか起こりづらい話だよ!

まあ、突っ込み入れつつ、軽く読むには、楽しい小説。