50歳より前に去った人を思う

夏目漱石は1867年2月9日生まれで、1916年12月9日に49歳で亡くなった。いまからちょうど100年くらい前のことになる。

夏目漱石って、あの人、49歳で亡くなったのか。何年か前に、このことを知ったときに、とても気になって、思わずメモをした。

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脳学者・池谷裕二さんの本によると、脳は「自分の将来に起こりうる変化を少なめに見積もる」クセを持っているという。脳は、安定したもの、秩序あるものが好きで、まわりを、そういうものだと考えたがる。

でも、世の中は自分が考える以上に、偶然だらけで、無秩序で、不安定で、将来も変化だらけ。池谷さんの本では、例として、「60歳までに10%ほどの確率で癌にかかるが、多くの人はそう考えていない」と書かれていた。

確かに自分もそうだ。なぜか、70歳から80歳くらいまで生きるのかなー、くらいに勝手に考えている。

でも、考えてみれば、自分のいまの歳(50歳)になる前に、30歳台、40歳台で亡くなっている人もいる。いや、それはもちろん、一歩引いて考えれば、「人間なんだから、そういうものだ」ということ。別にビックリするようなことではない。

ただ、もちろん本人にとっては、なぜ自分が・・、という、理不尽で、無秩序なものだったと思う。

最近では・・

  • 今年6月に乳癌で34歳で亡くなった小林麻央さん。きれいで、賢くて、性格もよさそうで、誰もがうらやむ方に見えたが、まさか、こんなことになるとは。

  • 去年9月にはNHKでキャスターをしていた黒木奈々さんが胃癌で32歳で亡くなった。闘病を綴った著作が大きな話題になった。

  • アナウンサーの方で個人的に記憶に残っているのは、日本テレビの鈴木(大杉)君枝さん。2007年に43歳で亡くなった。繊維筋痛症という難病だったと報じられた。あの明るく、仕事をテキパキする感じの方が、突然そうした病気になったら、どんなにショックだっただろうと考えてしまった。

思えば、若くして亡くなった方の中には、会ったこともないのに、とても気になってしまう方が何人もいる。

  • 歌手の松原みきさんは2004年に子宮頸癌で44歳で亡くなった。「真夜中のドア」をユーチューブで見ているときに知った。あの素敵な方が、若くして他界していたことがとてもショックだった。いまもなぜか、松原さんのことを考えたりする。

  • 漫画「玄人のひとりごと」を書いていた中島徹さんは2011年に大腸癌のため47歳で亡くなっている。あんなに面白い漫画をずーっと連載して、サッといなくなってしまった。どんなに無念な思いだったのか。それとも、あの最高のキャラクター南倍南のように「ふっ・・」と達観して、去ったのだろうか。いまも、玄人の漫画が全巻ならぶ本棚を見ながら、中島徹さんのことをよく考える。

  • コラムニストのナンシー関さんは2002年に虚血性心不全で39歳で亡くなった。著作はほぼすべて持っていて、いま読んでもまだまだ面白い。突然死のような亡くなり方で、ご本人は何か考える時間はなかったかもしれない。追悼の本でご両親が、「手がかからない、とてもいい子だったけど、最後にいちばん親を悲しませている」というようなことを話しておられて、それも悲しかった。

  • サッカーの松田直樹選手が2011年8月に急性心筋梗塞で34歳で亡くなったこともショックだった。見るからに気持ちのいい、サッカー少年がそのまま大きくなったような松田さんが、あの日、どんな思いで突然の旅立ちをしてしまったのだろうか。

  • 相撲界も数多い。元・北天佑関は2006年に腎臓癌と脳腫瘍で45歳で。元・久島海関は2012年に虚血性心不全で46歳で。元・貴ノ浪関は2015年に胃癌と急性心不全で43歳で。そして元・時天空関は今年1月、悪性リンパ腫で37歳で亡くなった。あんなに強かった力士の皆さんが、信じられないほどあっさり、いなくなってしまっている。

いや、誰にも、死はやがてやってくるのだから、それが若くても、100歳を超えていても、ある意味では、同じことなのかもしれない。

でも、いまの自分より若く亡くなった人を思うと、そのときの本人の思いを想像すると、とてもつらい気持ちになる。

世の中の実態。

「偶然だらけで、無秩序で、不安定で、将来も変化だらけ」というサイコロみたいな現実であることを改めて意識するのは、とてもつらい。

でも、たとえ、どんなことがあっても、柔軟に、状況にあわせて、自分のできることを淡々とやっていこう。

改めて、そう考える。