相手のメリットは何か

横田めぐみさんが、いまだに帰国できない状態が続いている。めぐみさんのご両親も80歳を超えて、体調もよくないという報道もある。

なんとかしないと、いけない。

自分は、姉がめぐみさんと同じ年生まれなので、なんとなくこの問題がいつも気になっている。もし姉が中1のときに拉致されて、53歳になる今まで戻らない、などという超理不尽な状況だったら、いったいどうなっているだろう。ありきたりな言い方だが、想像を絶するつらさだと思う。

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どうすれば取り戻せるのか。

「もう強硬姿勢で厳しく向き合うしかない」「太陽政策でやっている場合ではない」という感じに、今はなっている。

もちろん日々、なんとかできないかと、ずっと考えている外務省職員や、国会議員、専門家の方が、総意として、こうした方針を選んでいるわけだから、これが最善策なのだと思う。

ただ、その上で、もう一度、原点にもどるなら、古今東西、どんな交渉でも、相手が動く理由は、相手にとってのメリット、得する点だ。北朝鮮首脳には、そうした論理は、本当に通用しないのか。

北朝鮮の側に「めぐみさんに帰国してもらうべき」と考えるだけの何かのメリットが、もしもあるなら、なんらかの展開につながる可能性もやはりあるのではないか。

  • 「めぐみさんが帰国したら、日本人から見ると、北朝鮮のイメージはすごくよくなります」という訴えは、効力は・・、あまりないのだろうな。北朝鮮首脳にとって、日本人がどう考えているかは関心がなさそう。自国の存在感のアップ、自国の発展がいちばんの関心だろう。

  • 北朝鮮のイメージがよくなると、北朝鮮の製品を買う日本人や、北朝鮮に観光に行く日本人が増える可能性があります。経済発展に効果がありそうです」はどうだろう。効力は・・、これも、あまり大きくはないのだろうな。そんな中長期的なことや可能性レベルのことを考えて、あの大変そうな北朝鮮首脳の中で、ややこしい仕事をするなんて、普通の発想の人はなかなかやるはずないだろう。

  • 「なんらかのお金をお渡しします」は、北朝鮮になんらかのルートのある人は、もう何人も、実際にそう言っているだろう。渡せば渡すほど、相手から見れば、まだまだ出てくるというメッセージにもなってしまうから、この道は厳しい。ただ、たとえば首脳の中で相当な力のある人に対してなら、たとえば数百億円ぐらいの桁外れの額なら、この方法も可能性があるのだろうか。いや、これでうまくいくぐらいなら、今までにもう解決しているか。

  • 「(めぐみさんの話は一旦置いてでも)とにかく仲良くしよう。そのほうが、お互い楽しいから」という呼びかけは、北朝鮮のみなさんに響く可能性はあるし、もう現実にやっておられる方も何人もいると思う。ただ、これは、めぐみさん帰国に、ダイレクトにはつながらない。なので、長年かけてうまく交流が強化されても、目的が達成されるかわからない難しさは当然ある。でも、仲良くすること自体はいいし、前進という意味では、前進だと思う。

  • 「帰国が実現したら、トランプさんに北朝鮮に挨拶に行ってもらいます」と伝えることができるなら、そして本当にそんなことが可能なら、北朝鮮首脳に少しは考慮してもらえそう。トランプさんの強硬姿勢、日米関係から考えて、きっと難しいのだろうけれど。

  • ちょっと趣向を変えて、たとえばバドミントン好きの北朝鮮首脳がいれば、「日本と北朝鮮のバドミントン定期戦を始めよう。バドミントン部だっためぐみさんに、サプライズで来ていただきたい。大会を一気にメジャーにできます。あなたの大会プロデューサーとしての評価が上がります」と伝えるのはどうか。・・いや、これも同じことか。バドミントン大会はできても、めぐみさんの問題は全然、次元の違う話だから、可能性は低いか。そういう、ちょっと別のサイドから、側面から交渉して、先方のメリットを探す道ってないのだろうか。

  • 「めぐみさん探しは大変な事業でしょう。その大事業の苦労物語を日朝合作のアニメにしよう」的な呼びかけに、メリットを感じてもらう可能性はないか。元NBA選手のロッドマンさんとのつきあいの感じを見るかぎり、北朝鮮首脳も、面白いもの、興味を持つものに対しては、それなりに許容の幅はありそう。ただ、こちらの希望が明確すぎて、足もとを見られることになるから、簡単には実現できないだろうけれど。

横田さん御家族の状況を、北朝鮮のごく普通の家庭で暮らしている方がもし聞けば、日本人の多くと同じように「なんとかできないか」と感じると思う。つまり、北朝鮮と日本のほとんどすべての人は、この理不尽過ぎる状況を(知りさえすれば)ストップすべきだと考えている。

なんとか、できないだろうか。