「無難」こそ危険だ

サッカー日本代表の議論で、よく話題になるのが、いわゆる「海外組」の扱い。

  • Jリーグではなく、ヨーロッパなどの海外クラブでプレーして、日常的に世界の一流選手にもまれる中でやっていれば、プレーの質が上がり、国際試合でもビビらなくなる。日本選手よ、海外へ出よ!

  • 海外クラブに出たはいいが、出場機会を失ったり、思ったほど成長できないこともある。一方でJリーグでやっていても成長を続ける選手もいる。「とにかく海外へ行け」論はちょっと偏った主張ではないか。

どちらも正しい面あるし、「海外組」がどんどん出てきたからこそ、2つめの意見も出てきているので、まあいろいろ考え方はあるよね、という話。

で、2017年12月の東アジアE-1選手権のオール国内組の代表。

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ダメダメだった、・・みたいに言う人もいたが、そうでもないんじゃないの。「海外組」主体のチームなら全部圧勝できた、なんてことないと思う。

実際、ここ数年の日本代表の試合を見ていて、この「海外組」選手は、はっきり段違いだなーと思えたのは・・

  • 2、3年前の本田圭祐選手(ムチャクチャ頼りになる感じがした)

  • 長友佑都選手(いまも、どんな局面でも切り開いてくれる感じある)

  • 酒井宏樹選手(どんな超一流選手もバキバキとめてくれそう)

一方、この「海外組」選手って、そこまではすごいのか、よくわからないなーと思ったのは・・

・・というか、まあ、元々、ハイレベルの戦いだから、選手間にそんなに決定的な差なんてないのだろうけど。

ただ、ここ数年の代表選考は、一応「海外組」優位みたいな考え方も、かなりある感じがする。

これって、まあ当然でもあって。

代表として、いい結果を出せなかった時、もし「国内組」が多かったら、「海外でもまれてない選手が多いから、いざという時ダメなんだ」と批判されるから、「海外組」を多くしておいた方がリスクは確実に減らせる。

選ぶ側としては、同じくらいの選手なら、「海外組」にしておいた方が、圧倒的に無難だから、しょうがない。

つまり・・

  • だいたいの実力は70-80点(+海外経験)

  • だいたいの実力は70-80点(海外経験なし)

・・みたいな選考なわけだから、海外に行っていた方が、選出の可能性は高くなるに決まっている。普通に考えれば、「海外経験は、むしろない方がいい」なんて考え方は絶対ないわけだし。

そりゃ乾貴士選手だって、柴崎岳選手だって、杉本健勇選手だって、一応、海外に行っとけ、となるに決まっている。

「別に海外組だからって、そこまで特別扱いする必要ないでしょ!」とか考えて、国内組をバンバン選んで代表の主力にするって、すごいリスクの高いことだ。「無難」とは無縁の、勇気のありすぎる決断だ。

ただ、選ばれた国内組選手は「わざわざデカいリスク取ってまで、こんなにたくさん国内組を選んでくれた!」ってことで、ものすごく燃えるかもしれないけど・・。

サッカーって、よく言われる通り、「無難」という考え方からは、一定の距離を取った方が、むしろいい競技でもあると思う。いつも、ウラのウラを考えているくらいがちょうどいい感じ。

ただ、「無難」をまったく切り捨てる、などという発想は、それはそれで、団体競技で、たくさんの人の合意が必要な話では、現実的に難しい。

でも・・、「無難」はできるだけ、減らそう!

できるだけ・・、敵も、味方も、「えっ?」という選手を混ぜ込もう!

ワールドカップ、普通にやったって、勝てないんだから。