旅するように「片づけ」しよう

名越康文さんの本はいつもすばらしいなあ。

SOLO TIME (ソロタイム)「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である

SOLO TIME (ソロタイム)「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である

指摘されればその通りだし、よく考えれば自分でも気づくはずなのに、なかなか見えにくいことを名越さんが提示する。改めて考えさせられる。

人間関係に気を遣い過ぎ

「普通に人生を送る」だけで疲れ果ててしまってもまったく不思議ではないくらい、高度で繊細なバランス感覚が求められる社会に私たちは生きている。

「人間関係が人生のすべて」になることが現代人特有の不幸を生み出している。これは、精神科医として多くの人と接する中で得られたひとつの結論。

確かに、人間関係がすべてになっていますとも。そう言われるまで、そう考えていなかったけれど。

「群れ」は考え方、行動まで似る

同じ群れの中にいる人間の言葉遣いや仕草、表情、ファッション、ひいては考え方や行動は互いに似ていく。

同じ時間、同じ空間を過ごすことによって、人間は同調し、似通っていく。無意識レベルで、互いに似ていく。

夫婦でも、会社でも、友人関係でも同じ。互いが互いに似ることによって、群れ全体は、次第に、均質化する。

そう、これも、そう。会社も、家族も、友人も、よほど意識的にいかないと、「すごい均質集団」になることに、自分は無自覚になりがちだ。会社の同僚も、一歩ひいて考えたら、ものすごく似かよった考え方、価値観を持った人たちだもんな。

群れから離れ、旅に出よう

ふだん自分が過ごしている「場」や「空気」から離れないと、群れの疲れは癒やすことはできない。群れの中で傷ついた心は、群れの外に出て癒やしましょう。

一番わかりやすいのは「旅に出る」ということ。一人で、できれば三、四泊以上の旅に出る。そうすると、おそらく二泊目か三泊目ぐらいの旅先のベッドの中で、あなたはふっと心が軽くなり、日頃思い悩んでいたことが、別に大したことじゃないと感じ始めている自分に気づくはず。

それは、あなたの周囲を取り巻く「人」と「環境」が変わるから。

実は私たちは、人だけではなく、家具や衣服、食事といった、日常を取り巻くさまざまな環境からも、多大な影響を受けている。

目に飛び込んでくる未知の風景、いつもとは違う風の香り。そうしたものと感応するうちに、人は群れの中に埋没していた時の身体感覚から離れることができる。

旅に出る・・。場や、空気から、離れる。これは、意識的にやらないといけないな。

「部屋の片づけ」でも癒やされる

「部屋の片づけ」は心理的的には「旅」とよく似た効果を持っている。

旅に出ることは、あなたの部屋にあるたくさんの「モノ」から手を離すこと。そして「片づけ」とは、「捨てる」ことによって、旅と同じように、それらの「モノ」からあなたの心を切り離していく効果を持っている。

なるべくものを持たず、移動し続けることによって、心を軽く、新鮮に保つことができる。

旅するように、片づけする。移動し続けることで、心を軽く、新鮮に保つ。

改めて、大事だなーと感じる言葉が数多くあった。